なんば農園の歩みと想い
なんば農園は、新潟県燕市・桜町にある6代続く小さな米農家です。
燕市は昔から金物づくりの街として知られ、信濃川と大河津分水路に囲まれ、背後には弥彦山がそびえます。
市街地や工業団地を抜けると、そこは一面の田んぼ。私たちの農園も、そんな自然豊かな土地にあります。
このなんば農園は、祖父が始め、父と母が二人三脚で守り育ててきた農園です。
私はその家に生まれた4人兄弟の長男として育ち、幼いころから農業が身近にありました。
母の死と、覚悟の芽生え
私が農業を志すことになったきっかけは、母の死でした。
高校2年生の夏、母にガンが見つかり、わずか半年で亡くなりました。
突然すぎる別れでした。
もっと話を聞けばよかった、もっと寄り添えたのに……と今でも後悔が残ります。
母が亡くなり、父が一人で農園を守るようになったとき、私は「このままではいけない」と思いました。
小さいころから農業に触れていた私にとって、それは自然な決断でもありました。
知識も経験もない私は、まず農業大学校に進学し、基礎からお米づくりを学びました。
そこで出会った仲間たちとの時間は、今でも私の財産です。
そして卒業後、「なんば農園」に就農し、父のもとで本格的に農業を始めました。
失敗の日々から、少しずつ前へ
就農したばかりの私は未熟でした。
朝起きられない、機械を壊す、収量を減らしてしまう……毎日怒られてばかり。
何度も同じ失敗を繰り返し、自信をなくしたこともあります。
けれど、稲と向き合い、四季を重ねるうちに、少しずつ農業の面白さと奥深さに気づくようになりました。
そんなある時、ふと湧いてきた思いがあります。
「もっとおいしいお米を作りたい」 そしてそのお米を、できることなら直接、食べてくれる人に届けたい。
そう思うようになったのです。
「おいしさ」を追い求めて
それからは試行錯誤の日々でした。
魚かすや海藻、糖蜜や微量元素を含む肥料を試し、水管理や土づくりにも工夫を重ねました。
水を抜く時期、深水にする時期、かけ流しなど、多様な方法を実験しました。
土壌分析も行い、何が足りないか・多すぎるかを一つひとつ確認しました。
何年もうまくいきませんでした。
味が思ったようにならない。収量が減る。 暑さで気力がもたず、サボって後悔した年もありました。
父との衝突もありました。農薬をめぐっては葛藤もありました。
でも、ある年、お米のコンテストに出品してみないかと声をかけていただきました。
正直、自信はありませんでした。
それでも思い切って出してみると、なんと受賞。
そのとき、父から「おいしいな」と言ってもらえました。 報われた気がしました。。
それでも、まだ足りない
けれど、思いました。
「確かにおいしい。だけど、誰が食べても感動するレベルではないかもしれない」と。
私の理想は、音楽や映画のように心が震えるようなお米。
口に入れた瞬間、思わず笑顔になるような―― そんなお米を、一度でいいから作ってみたいのです。
「米が高くて買えない」のニュース
そんな中、2024年、「令和の米騒動」とも言われた出来事が起きました。
米価が過去最高水準に上がり、「ご飯のおかわりを我慢する子どもがいる」というニュースを目にしました。
私は3歳の子を持つ親でもあります。 ごはんの価格なんて気にせず、思いっきり食べてほしい。
僕が子供の食べ盛りの頃に部活が終わってうちにかえるとあるほかほかのごはんに救われた日々がありました。
誰もがほかほかのごはんを食べられる、そんな社会であってほしいのです。
なんば農園が目指すこと
―笑顔が増えるお米を届けたい―
なんば農園が作るお米で、食卓に笑顔が増える。 そんな未来を、私たちは本気で目指しています。
これまで私たちのお米は、主にJAや卸業者に出荷されてきました。
正直に言えば、「誰がこのお米を食べてくれるのか」を深く考える機会は多くありませんでした。 でも今、直接消費者の方々にお米を届けたいと思うようになって、改めて考えました。
「僕たちが届けたいものは何だろう?」 「食べてくれる人に、どんな気持ちになってほしいだろう?」 答えはとてもシンプルでした。
「おいしい」と思ってもらいたい。 その一口が、ちょっとでも笑顔につながってほしい。
それが、なんば農園が田んぼに立ち続ける理由になると思ったのです。
なんば農園のごはんがある食卓を思い描いて
例えば、いつもの夕食。
テーブルの真ん中に、炊きたてのなんば農園のお米。 湯気とともに立ち上がる香り。口に入れると、ふんわりとした甘さが広がる。
それだけで、家族の会話が少し弾んだり、今日の疲れがすっとやわらいだりする。
そんな“ちょっと笑顔が増える”ようなお米を、私たちは作りたいのです。
「ちょっと笑顔が増えるお米」ってどんなお米?
私たちはそれを、次の3つの要素で実現したいと考えています。
1. おいしい お米は香りと甘みが命です。
品種選びから土づくり、水の管理、収穫・精米まで、ひとつひとつの工程に心を込めています。
毎日食べても飽きない、しみじみ「うまい」と思えるお米を目指しています。
2. 安全・安心 私たち自身の子どもにも、あなたの大切なご家族にも、安心して食べてほしい。
だからこそ、必要最小限の農薬・肥料を見極めて使い、栽培履歴を開示し、透明な農業を行っています。
3. 毎月買える金額で ごはんをおかわりするときに「価格」を気にしてほしくないんです。
だからこそ、極力機械化・省力化を進め、人件費や流通コストを抑える工夫をしています。
“毎月の暮らしの中で無理なく買える価格”でおいしいお米を届けたい、それが私たちのこだわりです。
最後に
なんば農園が目指すのは、ただ「高品質なお米」を作ることではありません。
「そのお米を食べて、誰かが笑顔になる」――それが、私たちのゴールです。
これからも、そんなお米を目指して、田んぼと、食卓と、まっすぐに向き合っていきます。
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